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みなさんに質問です。 農薬の臭いについてですが、その臭いの成分は何でしょう?
農薬その物?
ではなく ・・・ 実は、農薬の臭いの成分は、農薬を希釈している有機溶剤や、農薬の分解生成物あるいは不純物であって、農薬その物の場合は稀なのです。
ベランダで育てた草花や野菜には、アブラムシや温室コナジラミ、ハダニがついてすぐだめになってしまいます。 その時、登場するのが農薬なのですが、これが臭いが強くてやっかいです。
ベランダで農薬を撒くと、直ぐに撒いたことが判り、身内からも苦情が出ます。 最近では、臭いが気にならない農薬も販売されているようなので、一度試してみようと思います。
「スミチオン」や「マラチオン」は安全な農薬で、ベランダの草花にアブラムシや温室コナジラミが発生した時に、我が家でも良く撒くことがあります。 その時、ペンキのシンナーの様な臭いも感じるのですが、明らかに体に悪そうな、嫌な臭いを感じます。
では、いったい何故そう感じるのでしょう。 図1が、マラチオン(マラソン)のGC-MS分析チャートです。
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図1. マラチオンのGC-MS分析結果 |
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農薬として働くマラチオン、そしてその希釈溶剤のキシレン類やエチルベンゼンが検出されています。 このチャートの中で臭うのは、キシレン類やエチルベンゼンで、シンナーの様な臭いがする物質です。 マラチオンそのものは臭いがありません。
では、体に悪そうな嫌な臭いはと、感度を上げて分析してみると、図2の様にジメチルジサルファイドが極微量検出されました。 ジメチルジサルファイドは、硫黄系のタクワンの様な嫌な臭いがする閾値の低い物質です。
これが、有機リン系特有の、硫黄の様な農薬臭の原因物質の一つであることが判りました。
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図2. マラチオンの分解生成物等のGC-MS分析結果 |
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人の嗅覚はすばらしく、この様に微妙な異臭も感じ取り、シンナーと農薬の臭いの違いをも嗅ぎ分けているのです。 いつもの様に、人の嗅覚の素晴らしさに驚かされます。
そして、人が臭いに差を感じた時は、必ず臭い物質に差があることをここでも再確認できました。
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