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第33回
「公害」から「香害」へ

 ある石鹸メーカーの広告をご存知でしょうか。

 タイトルは『日本に新しい公害が生まれています。その名は「香害」』です。日本で、柔軟剤や洗剤の人工的な過剰な香りに苦しんでいる人が増えているというものです。しかし、この「香害」を引き起こしているにおい物質は、人にとって安全な物質であるため、法的な規制はできません。一部の人は、この「香害」に苦しんでいるのですが、大多数の人とっては毒性がないので関心はありません。

 しかし、今この「香害」で悩んでいる人たちがある業界にはたくさんいます。その業界とは、食品や飲料の業界です。食品を包装する容器製造や倉庫やトラックなどの物流業界全てを含みます。これらの業界で、柔軟剤や洗剤のにおいが製品に付くと、即異臭クレームで回収となり、莫大な損害が発生します。

 食品の製造に関係する人たちが、自分の部屋や衣服、毛髪、顔など身の回り全てで強い化粧品のにおいを漂わせていると、大切な商品ににおいを付けたり、製品のにおいも嗅げなくなり、異臭クレームの判定もできなくなります。食品に関係する人は、自分のにおいは大丈夫なのか、他人の「鼻」でチェックしてもらうことを忘れない様にして下さい。

 人の嗅覚は優れていて、ある一定のにおいを嗅ぎ続けていると、そのにおいに慣れ、感じることができなくなります。化粧品やシャンプー、リンス、洗濯用洗剤や柔軟剤などの甘い香りには、β-イオノン(スミレの香り物質)などの香料が入っています(イメージ:写真1)。食品や飲料の異臭として、時々問題となるβ-イオノンですが、もともとこのにおいに鈍感なのか、それとも慣れてきたのか、このにおいを感じにくいと表現する人が多くなってきている様です。β-イオノンが嗅げない人達がいることで、洗剤や柔軟剤のにおいの強さがエスカレートするのではないかと少し心配です。

 そして、本当の公害にならないかと心配なのが排水です。使った洗剤、シャンプー・リンスのすすぎ水はそのまま下水に流れ込みます。使われている香料の内、ほんの少しだけが髪の毛に留まって香りを付け、残り全てが下水処理後に川や海に流れ込んで行きます。

 夏の夜の隅田川の屋形船、船上から見るビルの夜景(写真2)は風情がありますが、船上で感じられるにおいは、なんと下水臭+シャンプーやリンスの香りが混じったものでした。
この水が海へと流れ、育つ魚が本当においしいのか、少し疑問を感じます。この様な河川や海の水質香害を考えると、
TPOで使い分けができる香水やオーデコロンも、強さや使い方次第では、「香害防止」に役立つのかもしれません。

 

最後に、「香害防止」のために自分自身で行っていることを列挙し、この回を終わらせて頂きます。

1.衣服の洗濯

 においの弱い粉洗剤を使う。液体洗剤は、洗浄力は強いが、においも強い。

 粉洗剤も、フレグランス系(ピンク色の箱)は使わない。

 洗濯物のにおいが取れていないと思ったときは、天日で丸1日干す。

 柔軟剤は使用しない。

2.手洗い用石鹸

 サンプルを取り扱う前や官能評価の前には石鹸を使わない。

 水洗いだけを十分行い、乾燥後にアルコール系(無臭)消毒液で消毒する。

 汚れがひどい場合は、無臭の食器用洗剤やガラス器具用洗剤で洗う。

3.風呂用石鹸・シャンプー

 体は、使い慣れたメーカーの固形石鹸を使って洗う。

 シャンプーは、極力においの少ないものを使い、十分にすすぐ。

 リンスは使わない。

4.香水やオーデコロンなど

 香水やオーデコロンは一切使用しない。

写真1

写真2

 
 
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