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どうしてこの年からゴルフを始めなければならないのかの理由はさておき、もうすぐ60歳になるのですがゴルフを始めることになりました。 数ヵ月後のコースデビューをひかえ、クラブを揃え、近くの練習場に通い、ロストボールも1ダース購入しました。
そこでまた気になる臭いに出くわしました。
それが、あるショップで購入したロストボール(写真1)の臭いです。 帰宅後、袋を開けると、消毒臭のような強い臭いが感じられました。 あまりにも臭いが強いので、部屋には置けず外で保管することになりました。
さて、いつもの様に気になるのが、このロストボールの異臭原因物質です。 原因物質の同定には、GC-MSでの分析が必須です。 GC-MS分析には前処理が必要で、臭いを集め濃縮しなければなりません。
今回も比較的簡単に臭いを捕集・濃縮できる、活性炭ディスクを採用することにしました。 写真2の様に、ゴルフボールをガラスの容器に入れ、活性炭ディスクをセットし、密閉後55℃で3時間加熱しました。 放置後、活性炭をジエチルエーテルで抽出し、臭い嗅ぎGCとGC-MSで分析しました。
分析の結果が図1です。 |
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ロストボール |
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ガラス容器内の様子 |
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図1. ゴルフボールのGC-MS分析結果 |
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いつもの様に見慣れた異臭物質が同定されました。一つは、強い塩素臭の原因物質である、2,6-ジクロロフェノールで、もう一つは、モノクロロフェノールであることが判明しました。 臭い物質の沸点から考えて、残念ながらボールから臭いが無くなる事は考えられません。
このボールを買った人は、あきらめるか、どうしても臭いが気になるのであれば、ショップに返品するしかないでしょう。 私は、ショップに相談して返品しました。(ショップの対応は良く、こころよく返品に応じてくれました。)
他のショップでは、この様な異臭がするロストボールは見当たりませんでした。 ということで、ロストボールを処理する際、特定のメーカーが塩素系の薬剤を使っているのでこの様な消毒臭がしているものと推測されます。
塩素系の薬剤を使うことで、殺菌と漂白効果による白さアップという点では優れているのでしょうが、臭いと言う点では大きなイメージダウンにつながります。
ゴルフボールは食べ物では無いのですが、臭いの質によっては気になります。
食品や飲料業界では、殺菌剤として塩素系薬剤は多用されています。 殺菌による食中毒防止は最優先ですが、消毒臭による異臭で食べ物がまずくなる危険性があることも十分理解しておくことが大切です。
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